知恵通信

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2011.02.21

中国日系企業成功の秘訣5
~コミュニケーション その2~

人事顧問 佐藤忠幸

前回、コミュニケーションの難しさと重要性そして、中国語よりも正しい日本語をとも学びました。今回はその続きで、「前置きが長すぎたり、例示が多すぎたりして話の論点が不明」という問題点について勉強します。

前号の事例を振り返ってみます。
日本人赴任者は、次のことで怒っていました。

「中国人は、幾ら説明しても理解できない」
「中国人は、言うことを聞かない」
「中国人は、自分では何もできない」
「あの通訳は、役に立たない」

中国人幹部および通訳は、次の不満を訴えていました。

「日本人は、言うことがその都度変わるので何をやってよいのか分からない」
「日本人は、知らない言葉ばかり言っているので通訳不能」
「日本人が、言っていることは分からない、聞き返すと怒るので適当に通訳するようになった」

どうして、このような行き違いが起きたのか、もう一度考えてみましょう。

前置き不要、事例は最後に

 親切にあるいは分かりやすくということで、前置きや事例を丁寧に長々と話している方を見受けます。長すぎると、論点が分からなくなります。前置きや事例はあくまでも主要論点の解説です。

ずばり、結論を言って、「その説明として事例を言うよ」と断ってから事例に入ってください。それでないと主要論点の通訳をしない場合があります。前置きはよほどのことがない限り不要です。雰囲気を和らげようとか分かり易くしようとか、親切心を出して前置きを長々と話すとかえって逆効果です。

結果的に「日本人は、言うことがその都度変わるので何をやってよいのか分からない」「日本人が、言っていることは分からない、聞き返すと怒るので適当に通訳するようになった」ということになってしまいます。

 「日本人の手紙は最後から読む」と言われますが、話は最後から聞くわけには行きません。

我 愛 你 の文法を守れ

単語が正しくても文法があいまいでは通じません。
文法は日本人のもっとも苦手なことです。中国語を含めて外国語の大部分は「主語+述語+目的語」が明確です。日本語では「主語+目的語+述語」ですね。
日本人が最初に覚える中国語は「你好(ニーハオ)」と「我愛你(オーアイニー)」です。

我 愛 你は一般的には「愛しているよ」と訳されますが正確には次です。

我 愛 你 =I Love You = 私は 愛します 貴方を ⇒ 私は貴方を愛します

日本語では、XXが(主語)ZZを(目的語)YYする(述語・動詞)と結論が最後になり、これが誤解の元凶です。ましてや、長々と修飾語をならべ、例示を散々されたら結論がどんどん後回しになり、あいまいになってしまいます。言われた方は、何をすればよいのか分からなくなり、結論が変わったように聞こえて「日本人は、言うことがその都度変わる」となります。

日本人の多くは述語以外を省略しますが、長い間同じ職場で働いていた仲間なら通じても新職場しかも異国では通じません。「愛します」だけで通じるのは恋人だけです。

「起⇒承⇒転⇒結」では通じない

一直線に、起⇒承⇒転⇒結の話し方では、最後まで聞かないと何を言いたいのか分かりません。少なくとも、中国では、結⇒起⇒承⇒転⇒結 で話すべきです。「結」が最初と終わりにあり、直線ではなく円となります。

日本語には、中国語に直訳できない言葉がたくさんあり、意訳する場合、何を言いたいのかという結論が分からないと訳せません。

「結」が分からない間は、「承」と「転」の多くは訳せないはずです。

通訳は、あなたが怖いか、遠慮した場合は、「何を言いたいのですか?」と聞かず、想像で通訳します。

「起承転結」で話すと、優秀で責任感の強い通訳は、「何を言いたいのですか?」「結論は何ですか?」「最後まで言ってください」などと言います。

通訳が言わない場合は・・・・何を通訳しているのか疑問ですね。

言葉に手抜きするな

もう一つの重要なことは、5W1Hを忘れるなということです。「何を、何時、誰が、何処で、どうやって、何のために」するのかを明確に伝えなければ中国人は動けません。あるいは推測で行動されます。結果が期待と異なることがあっても当然です。

日本人の多くは「言語明瞭、意味不明」だとよく言われます。通訳が直訳したら全く意味不明になるような余分な言葉が多すぎ、必要な言葉が抜けているからです。あまりにもこういう機会が多いと通訳も聞き返し難く推測で訳されてしまいます。その結果は「中国人は、幾ら説明しても理解できない」「中国人は、言うことを聞かない」「日本人の言うことが分からない」となります。

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