知恵通信

日系企業様のための有益な情報を定期的にお届けする "知恵通信"

2014.04.03

中国日系企業成功の秘訣 16
社員教育 その①

人事顧問 佐藤忠幸

 中国における日系企業の立場は、年々厳しくなり、人材難が続いています。優秀な人材は人材市場に転がっている時代はとっくに去り、育てる時代となっています。
このことから、社員教育がますます重要となっているわけです。

中国系企業との厳しい競争

 90年代に進出した日系企業は、安くて豊富な労働力を活用し、簡単な作業を日本から移管して日本へ製品を持ち帰り、しっかりと利益を確保していました。しかし、どこかが成功すればどこも同じ道をたどります。

 すなわち、中国の日系企業と日本に残っている企業との競争が、中国にある日系企業どうしの競争となりました。次の段階では中国にある他の外資系企業との競争となり、今では実力をつけた中国系企業との競争となっています。中国系企業は、外国人がいないこと、外国に親会社がないことがコスト的には強みとなっています。

人材難は今後も続く

 今の中国では、安くて豊富な労働力というキャッチもなくなりました。
 人口が多いことと人材が多いこととは異なります。住居の移動(転勤)不可の者や通勤範囲外の者はカウントできないからです。
 また、高学歴化、ホワイトカラー志向、大都市集中化、などにより一部の職種や地域は求人難となってきました。
 しかし、最大の問題は、日系企業への就職希望者が減っていることにあります。
 最近の調査では、大学生が入社したい人気企業の上位には日系企業はゼロです。この現象は日中関係が微妙になる前から起きています。ではどこから来ているのでしょうか?

[表1]「中国での欧米系企業と日系企業との経営方式比較」を見てください。

[表1] 中国での欧米系企業と日系企業との経営方式比較

  欧米系企業 日系企業
現地法人の
位置付け
親会社から独立した行動を是認し、基本方針と事業計画を定めたら現地に任せる。 親会社が、子会社の独立した行動を嫌がり、細部まで報告を義務付け、指示を仰がせる。
経営者派遣方法 経営者として最適な人選を公募も含めて行い、徹底的に任せる。成功すれば高額ボーナス、失敗すれば解雇の契約方式。 社員の中から人選。経営者未経験者が多い。親会社の遠隔操作が効く者が重宝がられる。
現地管理者活用 現地法人では、徹底的に現地人管理者を活用する。抜擢人事は当然。 日本人管理者が重要ポストを握り、現地人に任せない。現地人を採用しても直ぐには権限を委譲しない。
賃金制度 仕事別賃金が主体。年功は一切考慮せず、入社時から仕事と賃金が明確になっている。
中国の求職者意識と合致している。
賃金制度・人事制度がない。制度があっても不明確或いは日本的な制度移転が多し。仕事と賃金を入社後1~2年見てから決めようとしており、不満多し。
教育制度 目標管理制度、業績管理制度が普及しており、その為の基礎教育システムあり。 人事制度自体が不明確なため教育制度が不明確
OJT教育という名目での放置が多い。

 どう見ても、日系企業の人気が低いわけですね。
 この傾向は、管理職と技術者において顕著となっており、この分野で当分求人難が続くことは確実です。
 技能者(作業者)も同じ傾向になりつつあります。地方からの出稼ぎ者が極端に減ってきています。地方に産業が興され、賃金格差も縮まったからです。
 しかし、それでも日本に比べればまだその程度は低く、則戦力は少なくても、優秀な素材は数多くいるのが中国です。

原石を宝石にするのは企業の責務

 素材(原石)を宝石にするのが社員教育です。

 中国および欧米は、ジョブホッピングが多いということは以前記しました。一見、必要に応じて即戦力を採用し使い捨てにするような印象を受けますが、[表1]にあるように欧米系企業にはしっかりとした教育制度をもっています。ジョブホッピングされないように、あるいは逆にジョブホッピングで入社した者への配慮をしているからです。少しでも早く戦力化し、長続きしてもらえるように工夫しているわけです。

 求職者も、求人企業の教育制度が充実しているかどうかが入社選択の重要ポイントになりつつあります。
若い中国人の多くは、自ら学ぶことよりも教わることが当然という思考を持っています。企業は教えることが当然であり責務であるとも思考しています。中国では教育しても、直ぐに辞められてしまうからと云って、教育をおろそかにする企業には明日がありません。

 社員教育について、次号から具体的に学びます。

ホームページに関するお問い合わせ

詳しい情報をご希望の際は、下記のいずれかの方法にてお問い合わせをお願い致します。

固定電話

021-8019-7732

携帯電話

138-1624-9385

メールでのお問い合わせは、下記のボタンをクリックして、お問い合わせフォームをご利用ください。

お問い合わせフォームへ

お問い合わせ

当社ならびに当社サービスに関して詳しい情報をご希望の際は、下記のご連絡先までお気軽にお問い合わせください。

固定電話

021-8019-7732

携帯電話

138-1624-9385

メールでのご連絡はこちらから
お問い合わせフォームへ