知恵通信

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2014.05.01

中国日系企業成功の秘訣 17
社員教育 その②「ジョブホッピングと教育」

人事顧問 佐藤忠幸

 中国における日系企業における社員教育の重要性について前号にて触れましたが、今号ではジョブホッピングとの関連について学びます。

 退職者の時期を調べますと(日本でも似たものですが)入社して数ヶ月という者が圧倒的に多いのが現状です。また、それを過ぎると、入社して3年目前後でほとんど退職します。

 一生懸命人材を探し、やっと採用したら直ぐに辞められ、3年近くがんばってもらい、これから中堅幹部として期待したがほとんど残ってくれない。これでは、社員教育どころではないと言いたくなるでしょう。

短期退職者は会社を理解していない

 数ヶ月という短期で辞める者の理由は、教育とは別な次元の理由もありますが、会社の仕組みや方針を理解して貰えないままに嫌気がさして辞められる者が多くいます。

 これは、新人が理解できるような仕組みや指導を会社がしていないことに問題があります。即ち、新人教育がなされていないが故に理解不足を招いていることを重視しなければなりません。特に日系企業には、特有の習慣や制度があるからです。

 人事部門が行う制度や規定の説明だけで終わらせていませんか?

 また配属先の管理者に教育を任せていませんか?管理者に任せる以上は管理者教育が充分になされていなければなりませんが如何でしょうか?

マンネリと能力衰退を嫌ってジョブホッピング

 会社が新しい、あるいは創設当初においては、何事も新鮮であり、必死に全員協力して取り組むものです。これは、目標を一つにした最もやる気を出させる実践教育でもあるわけです。

 また、集合教育はなくても実務に沿ったOJT教育です。さらに、皆が新しい職位・職務であり、ジョブホッピングとして入社した者にとって最もやる気を出させる能力開発の場でもあります。

 問題は、会社が操業を開始した、あるいは立ち上がった段階です。すなわち、新たな目標や課題が明確でない、あるいは明確であったとしても、その目標が低すぎる場合は、意欲は減退します。守りに入った途端に能力が衰退期に入るのが中国での特徴です。

 それを避けるために、ジョブホッピングとして他社に移り、新たな職位・職務すなわち職務拡充を求めるという自己防衛に走るというわけです。

 退職を防ぐためには、社内でのジョブホッピング制度が必要だと以前記しましたが、それは、再教育と職務拡充・職務転換、それに伴う抜擢です。

 それを表したものが別図です。

 衰退期に入った者を再教育しても、よくて元に戻るだけです。衰退前に適切に行う必要があります。

階層別の教育

 社員の能力開発を考える場合、職務拡充・拡大計画を人事計画の柱とします。

 その上で、自己啓発計画と教育計画をたてます。当然ながら職務の変化、職位の変化に対応した計画が必要です。ほぼ、次のコースになります。

◇新入社員:(多い場合は、技能職・事務職・技術職・営業職などに分かれる)
経営方針、人事制度その他の制度規定、社会人としての心構え、5S運動基礎(しつけを重点)、報告のしかた、コミュニケーション基礎 等

◇監督職:経営方針・事業計画、品質管理手法、生産管理手法、能率改善手法、5S運動、報告の受け方報告のしかた、初級人事考課、コミュニケーション 等

◇初級または中堅管理職:以下は上記にならって、段階的に水準を上げていく。

◇高級管理職

◇専門職:技術・営業などの専門職は、数段階に分けて専門性の追求と創造力の開拓教育が必要。

経営方針と5S運動は共通必修科目

 社員には、経営者の意思と方針そして経営計画を理解させ、共有して貰う必要があります。その中味は毎年変わっていくはずです。理解度および必要性も階層によって変わります。したがって、階層別の教育内容には必修科目となります。

 同様に、5S運動も必修科目です。5S運動そのものについては別途学ぶとして、どんなに高度な管理システムを導入しても運用は人が行います。その基本は5S運動であり、さらにその基本は「しつけ」であるため、階層別教育の中に組み込み、繰り返し指導・教育する必要があるということを認識してください。

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